あと30日で、他人に戻るふたり
即席で出かけるとなると、便利なのがキャップ。

メイクしてなくても、服がちょっと雑でも、なんとか様になっているように見せてくれる。


Tシャツにデニム、薄手のシャツを羽織ってキャップをかぶったら、そのへんに買い物に出るくらいならちょうどいい組み合わせになった。


軽装で寝室を出たら、彼も黒いキャップをかぶっていた。

思いもしなかったお揃いみたいなコーディネートに、思わず指差す。


「真似しないでくださいよ」

「いや、寝ぐせを押さえつけるためだけにかぶってる」

「私だってノーメイクです」

「誰も見てないよ、俺たちのことなんて」

「────たしかに」


今度は私が納得させられる番になってしまった。


彼は上だけTシャツに着替えていた。
土日はきっと、いつもこんな感じなんだろうなと思わせる服装。

だけどどこか整って見えるのは、まっすぐな姿勢とか、余白のある体つきのおかげなんだろうなと思う。

そこにいるだけで、雰囲気だけは持っている。


まだ昼間の暑さが少し残る外へ、私たちは繰り出した。

隣を歩く距離が、思っていたより近いことに、あとから気づく。



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