あと30日で、他人に戻るふたり
スーパーは日曜日の買い物客で大賑わいだった。

平日の遅い時間にしか行ったことのない私は驚いてしまうほどの盛況ぶりだった。

タイムセールを狙う主婦はもちろん、家族で買い物に来ている人達が多く、店内はかなり混雑していた。


「来る時間帯、間違えたな…」

隣でぼそっとつぶやくのが聞こえて、そう言いたくなる気持ちは分からなくもなかった。

買い物カートを思うように進められない。


キョロキョロしていると、「貸して」とカートを押す係を交代させられた。

「カゴに買いたいもの入れてっていいよ。追いかけるから」

「……ついてこれます?」

「瞬発力はまあまあ、ある方だけど」

どの口が言ってるんだか、と笑ってしまう。

いつも二、三日分まとめて買うけれど、今日はどうしようか迷う。
お米を持ってくれるって言っているし、これ以上重くするのも申し訳ない。


野菜コーナーで悩んでいると、

「パン買ってきていい?」

と彼が歩き出した。

「あ、はい」

返事をするかしないかのあたりで、もういなくなってしまった。


やっぱり今日食べる分だけ買おう、とカゴをひとつ持ってきてそこに白菜やネギを入れる。

必要な野菜を入れ終わり、精肉コーナーに向かおうとして足を止めた。


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