あと30日で、他人に戻るふたり
これだけ混んでいるのだから、いったん合流した方がいいのか?
そうじゃないと一緒に買い物に来た意味がない。


思い直して、パンの売り場へ向かった。

────しかし、そんなに広くもない売り場に、彼の姿はなかった。


辺りを見回しても、買い物客でごった返している。

ああ、これは完全にお互いに見失ったパターンかもしれない。
予想はできていたことなので、仕方ない。


人の波をかいくぐりながら、精肉コーナーで豚バラ肉をカゴに入れてすぐに離れる。

ひとつの場所で立ち止まると、周りに迷惑になりそう。


……次からは平日に来よう。
ゆっくり買い物ができない。


そんなことを考えていたら、見覚えのある後ろ姿を見つけた。

黒のキャップに、白いTシャツしか見えない。
でもたぶん、彼だ。


やっと見つけたと思ったのに。

人混みの中で彼の背中が遠ざかりそうになって、また離れてしまうかもしれない、と慌てた。


「────大地さん!」

思わず呼ぶ。
自分でも一瞬、びっくりした。


彼が振り返る。

一瞬だけ、間があった気がした。


けれど、目が合ったのはすぐだった。


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