あと30日で、他人に戻るふたり
朝のテレビで言っていた天気予報が当たった。

会社を出た時には降っていなかった雨が、電車を降りた時に降り始めていた。


昼間はあんなに晴れていたのに。
天気って気まぐれだ。


バッグから折り畳み傘を取り出して、駅から出る。

外は雨で濡れていた。


まとわりつく湿気を感じながら、マンションまで歩き続ける。

辺りはすっかり暗くなって、傘が行き交う歩道はいつもより混み合う。


雨足が強くなってきたあたりで、やっとマンションにたどり着いてひと息ついた。


「急に降ってきましたね」

ちょうどタイミングよくマンションに着いたらしい、どこかの部屋の住人みたいな同年代の女性が声をかけてくる。

「天気予報、当たりましたね」

「あー、もともと雨予報だったんですか?」

「朝のテレビで言ってました」


濡れた傘をまとめながら、私は名前も知らない女性とエレベーターに乗り込む。

「サンダルだから靴までびしょ濡れです」

そう言ってため息をついた彼女は、私よりも上の階に住んでいるのか『11』を押していた。

八階で降りた私は、エレベーターの中にまだいるその人と軽く会釈をして自分の部屋に向かった。


玄関に濡れたままの傘を立てかけて、鍵を開けて中に入る。


真っ暗なリビングに、ベランダから届くのは外からの薄い明かりだけ。
雨の音が遠くで聞こえるこの部屋は、私ひとりでは広く感じた。


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