あと30日で、他人に戻るふたり
電気もつけないまま、どさっとソファに倒れ込む。

別に仕事はそんなに忙しくはなかったし、少し残業はしたけれど大変でもなかった。

それでもどこか気持ちが落ち着かないのは、雨のせいなのだろうか。


しばらくそうしているうちに、つい寝てしまった。



記憶が途切れて、どのくらいそうしていたのか。


不意に視界が明るくなって、まぶしさに眉を寄せる。

まどろみの中でゆっくりと目を開けると、天井がぼんやりと映った。

……ああ、リビングで寝ちゃってた。


一拍遅れて、気配に気づく。

彼がリビングのドアに立っていた。
離れたところでこちらを見たまま、動かない。


「ただいま。……大丈夫?」

「おかえりなさい。ちょっと横になったら寝ちゃってました」

「びっくりした。倒れたのかと」

「このソファ、吸い寄せてくるんですもん」

「まあ、そういうの選んでるから」


やっと起き上がって、ソファから降りたところで気がつく。

ずぶ濡れの姿で、彼がそこにいる。


< 134 / 403 >

この作品をシェア

pagetop