あと30日で、他人に戻るふたり
「えっ!?ちょっと!そっちの方が大丈夫じゃないですよ!」

一気に眠気が吹き飛んだ。

「傘!買えばよかったのに」


急いで寝室からタオルを持ってきて彼の肩にぶん投げる。

それを受け取ってゴシゴシと髪を拭き始めた彼が、めんどくさそうな声を出す。

「着替えれば済む話だし」

「うわぁー、もー、床もやばい!」

「あ、それはごめんなさい」


洗面所から追加のタオルを持ってくると、一緒になって床を拭く。

「風邪ひいちゃうからまずは自分を拭いてください」

「そうか…手間が増えるのか」

彼は一瞬だけ私の方を見てから、濡れた床を見下ろした。

「……今度は傘買うよ」


表情を見るといたって真剣に言っているので、これ以上は責められない。
しかも、傘も買うとか言ってるし。

心境の変化に追いつけない。


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