あと30日で、他人に戻るふたり
パチッと電気がつけられ、部屋中が一気に明るくなった。

立ち上がって背伸びしている彼に、ひょこっとキッチンから顔を出して聞いてみる。

「昨日は完徹ですか?」

「ううん。会社で一時間くらい仮眠はとったよ」

「それで今日は何時に帰ってきたんです?」

「えーと…昼すぎてからだから……。三時くらい?」

「ブラックすぎません?」

「全然。他のやつに任せるより俺がやった方が早いもん」


彼はまたソファに寝そべり、普通に答えながらスマホをいじっている。

────この人、自らブラックにしてるんじゃないの?
と思ったけれど、絶対に違うって言いそうだから言わない。


ご飯の支度をしながら炊飯器のスイッチを入れて、野菜を切っている途中で手を止める。

……今日は、来ないな。

なんとなく気になってリビングを見ると、スマホを持ったまま彼がまた寝ていた。

「そりゃ、疲れてるよね」


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