あと30日で、他人に戻るふたり
ふっと笑って、私はまた包丁を握り直した。
冷蔵庫にあったもので、さっと作れるものを選んだはずなのに。
気づけば、いつもより丁寧に豆腐を切っていた。
さっきまで静かだった部屋に、包丁の音だけが響いていた。
麻婆豆腐の匂いが、ふわっと広がる。
匂いにつられたのか、出来上がったタイミングで彼が起きてきた。
「ごめん、また寝てた」
テーブルまで運ぼうとしたらいつの間にか背後にいたので飛び上がりそうになる。
「びっくりしたぁ。できたんで運んでください」
「うん。……あ、俺の米、大盛りにしてくれない?」
「分かりました」
漫画みたいな山盛りにしておいた。
テレビをつけて、いつものように二人並んでローテーブルの前に座る。
「じゃ、食べましょ」
「いただきます」
食器がぶつかる音が、隣から聞こえてくる。
無意識に隣に目をやる。
大盛りのご飯を口に放り込んだかと思いきや、すぐに麻婆豆腐もかき込んでいる。
美味しそうに食べてくれている。
口いっぱいにもぐもぐしながら、私の視線に気づいたのか「ん?」と首をかしげた。
冷蔵庫にあったもので、さっと作れるものを選んだはずなのに。
気づけば、いつもより丁寧に豆腐を切っていた。
さっきまで静かだった部屋に、包丁の音だけが響いていた。
麻婆豆腐の匂いが、ふわっと広がる。
匂いにつられたのか、出来上がったタイミングで彼が起きてきた。
「ごめん、また寝てた」
テーブルまで運ぼうとしたらいつの間にか背後にいたので飛び上がりそうになる。
「びっくりしたぁ。できたんで運んでください」
「うん。……あ、俺の米、大盛りにしてくれない?」
「分かりました」
漫画みたいな山盛りにしておいた。
テレビをつけて、いつものように二人並んでローテーブルの前に座る。
「じゃ、食べましょ」
「いただきます」
食器がぶつかる音が、隣から聞こえてくる。
無意識に隣に目をやる。
大盛りのご飯を口に放り込んだかと思いきや、すぐに麻婆豆腐もかき込んでいる。
美味しそうに食べてくれている。
口いっぱいにもぐもぐしながら、私の視線に気づいたのか「ん?」と首をかしげた。