あと30日で、他人に戻るふたり
「ほら、いま住んでるとこだってそうじゃん」
急に八代さんからその話題を振られ、一瞬動揺する。
胸が押しつぶされそうな感覚。
でも、気づかれないように蓋をした。
「課長も穂村のこといいように使ってるよな。知らない男と同居なんてさ、ありえないからな、普通は」
「────ああ、それは……。大丈夫です」
「ほんとに?」
「はい。生活リズムもそんなに合わないですし」
言いながら、そうじゃない、とも思う。
生活リズム云々じゃなく、私とあの人は生き方が違うとも思った。
それでも生活の一部みたいに、切り離せない存在になってきているのも否定できない。
「穂村がそう言うならいいんだけどさ。それなりなら。さっさと追い出しちゃえよ」
「……まあ、一ヶ月だけなので」
言葉にすると、ひどく乾いた響きを持っていた。
『一ヶ月だけなので』
それは、終わりが見えている証拠だ。
私がそれ以上なにも言わないので、八代さんとの間に妙な沈黙が流れる。
……変な空気になってしまった。
「なあ、今度遊びに行かせてよ。いわくつきの部屋なんだろ?」
絶妙なタイミングで切り出されたその提案に、私は慌てる。
「えっ、いや、それはちょっと」
「そのうち!約束!今度でいいからさ」
「散らかってますし!」
「いいっていいって!なんでみんな短期で出ていくのか気になってるし!」
言葉が見つからなくて、グラスに視線を落とす。
────どうしよう、帰りたいかも。
こんなことを考えるなんて、私はどうかしている。
視線を上げられないまま、グラスに口をつけた。
••┈┈┈┈••
急に八代さんからその話題を振られ、一瞬動揺する。
胸が押しつぶされそうな感覚。
でも、気づかれないように蓋をした。
「課長も穂村のこといいように使ってるよな。知らない男と同居なんてさ、ありえないからな、普通は」
「────ああ、それは……。大丈夫です」
「ほんとに?」
「はい。生活リズムもそんなに合わないですし」
言いながら、そうじゃない、とも思う。
生活リズム云々じゃなく、私とあの人は生き方が違うとも思った。
それでも生活の一部みたいに、切り離せない存在になってきているのも否定できない。
「穂村がそう言うならいいんだけどさ。それなりなら。さっさと追い出しちゃえよ」
「……まあ、一ヶ月だけなので」
言葉にすると、ひどく乾いた響きを持っていた。
『一ヶ月だけなので』
それは、終わりが見えている証拠だ。
私がそれ以上なにも言わないので、八代さんとの間に妙な沈黙が流れる。
……変な空気になってしまった。
「なあ、今度遊びに行かせてよ。いわくつきの部屋なんだろ?」
絶妙なタイミングで切り出されたその提案に、私は慌てる。
「えっ、いや、それはちょっと」
「そのうち!約束!今度でいいからさ」
「散らかってますし!」
「いいっていいって!なんでみんな短期で出ていくのか気になってるし!」
言葉が見つからなくて、グラスに視線を落とす。
────どうしよう、帰りたいかも。
こんなことを考えるなんて、私はどうかしている。
視線を上げられないまま、グラスに口をつけた。
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