あと30日で、他人に戻るふたり
「────でさ、今回はプロフィールの写真が加工っぽくはなさそうだったの。そんで、趣味は“グルメ旅”!ここがポイントかなーって」


目の前に座る優奈が、ころころと表情を変えながらしゃべり続ける。

「前回は“カフェ巡り”っていうワードでダメだったから。今回は“グルメ旅”に賭けようかなって」


「……それの違いって、なに?」

私の冷静な突っ込みに、優奈は屈しない。

「カフェからグルメに昇華したんだから。ワールドが広がるじゃない?ドライブも好きって言ってたから、休日なんかはお出かけできるしね?」

「もうデートするの?」

「日曜日に会うことになってさぁ」

「スピード感ありすぎる…」


体に良さそうな温野菜のスープ定食を頼んでいた私たちは、揃ってスープをすする。

優奈は週末に思いを馳せて、なんだかキラキラして見えた。

「美月のだめなところは、そこだよ。恋愛に遅いも早いもない!思い立ったら即!行動!これ必須!」

「……そう、だね」

返事がわずかに遅れる。


テーブルに伏せて置いている私のスマホを、いつの間にか優奈が手にしていた。

「どれ、美月にもちょうどいい相手がいないか探してあげるよ。まずはアプリをダウンロードして…」

「ちょっ…、待って。大丈夫!探してない!」

「なんでよ!ダブルデートしようよ!」

「しないよ!」

慌てて優奈からスマホを奪い返して、危うくダウンロードされそうになっていたマッチングアプリを消す。


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