あと30日で、他人に戻るふたり
この日の帰りは、何も考えたくなくてマンションへ一直線に帰った。

一週間分の仕事の疲れと、諸々の疲れがのしかかる。

スーパーにも寄らずに帰ってきたから、冷蔵庫の中にあるものなんて思い出しもしていなかった。


ほとんど空の冷蔵庫を見て、大きなため息をつく。

……やばい。やる気が起きない。
今から買い出しに行く気力もない。


人をダメにするソファにもたれかかり、スマホでなにか頼んでみようかと思い始める。
外に出ればすぐにコンビニもあるというのに。

いったん寝そべると起き上がれない、このソファが悪いんだから。
なんならこれを買った大地さんが悪い。


……と、勝手に人のせいにしていると。


玄関のドアが開く音がした。

「ただいま」

遠くで声がして、「おかえりなさい」とリビングから返す。
起き上がりもしないで彼を出迎えるだめな私。


「……またそこで寝ないでよ」

リビングに入ってきた彼が、ふっと笑う気配がした。

「今日は大丈夫です。目は冴えてます」

「それならいいけど」


無音だった部屋に、賑やかな音楽が流れる。
彼がテレビをつけたらしい。


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