あと30日で、他人に戻るふたり
なんだかんだと買い込んでしまって、結局二人で両手に持つくらいの買い物になった。


「重い」とか「暑い」とか文句を垂れ流している彼に、

「もうひとつ寄りたいところあるんです」

とすぐ近くにある、“とあるところ”を目指す。


「え?どこ?」

「パン屋さんです」

「…パン屋?」

「この間、篠原さんにおすすめしてもらって、美味しかったので」


いきなり口にしたお隣の奥様の名前に、大地さんは意外そうな顔をした。

「いつの間にそんなに仲良くなったの?」

「ご近所付き合い…、って言いたいところなんですけど」

ずしりと重い、さっきの買い物の荷物を持ち直す。

「人と人との付き合いってご縁だなって思いました」

「……ふーん」


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