あと30日で、他人に戻るふたり
フライパンに手を伸ばしたタイミングが重なって、思わず動きが止まる。

先に取手をつかんだのは彼の方だった。

「盛り付けしてみる」


えっ、意外。
と思ったけど、「じゃあお願いします」とお皿を二枚差し出す。


「……それ、こぼれますよ」

「大丈夫、大丈夫」

全然大丈夫じゃない盛り付け方で、皿の端に焼きそばが寄っていく。

……だめだ、この人たぶん天然だ。

「……麺と具のバランス悪くないですか」

「味は一緒だから」


彼はまったく気にしない様子で盛り付け終わり、ふと考え込むように眉を寄せた。

「……なんか、量が違うか?」


悩ませるのも申し訳ないので、量が少ない方をさっと私が手に取る。

「同じくらいですよ。ほら、さっさと運びますよ」

「はーい」


ローテーブルにいつもみたいに並んで座る。

いつもと同じ距離のはずなのに、少しだけ近く感じた。


「「いただきます」」

同時に声が重なって、ほんの少しだけ間が空いた。

でも、その隙間を埋めるみたいに大地さんが先に焼きそばに箸をつける。


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