あと30日で、他人に戻るふたり
次に目が覚めた時には、私はソファを占領していた。
寝落ちする前には彼はソファのいつもの定位置にいたはずなのに、まるで私が追い出したみたいにラグの上に座っている。
クッションも三つとも使ってしまっていて、はっとして起き上がる。
「あっ…すみません!寝ちゃってました」
「起きた?」
振り返った彼が、スマホをテーブルに置いてこちらを振り向く。
その顔は、少しだけやわらかかった。
「ぐいぐいこっちに来て、いつの間にか“こう”なったよ」
「このパターン多すぎて申し訳ないです…」
「もう慣れた」
「起こしてくださいよ!完全に夕方じゃないですか!」
すっかりいい感じにオレンジの光がベランダに差し込んでいるのを見て、日曜日が終わってしまう、と思った。
「……美月」
ぼんやりと外を眺めていたら、呼ばれて振り返った。
「ちょっと、外にでも出ない?」
意外な誘いに、思わず驚く。
「……どうしたんですか、急に」
思わずそう言ってしまってから、すぐに言い過ぎたかと慌てたけれど。
大地さんはまったく気にすることなく、
「そう?」
と言いながら立ち上がり、脱いでいたパーカーを着ている。
どうやら、断られるとは思っていないらしい。
たしかに断る理由もないので、私も寝室へシャツを取りに行った。
簡単に身なりを整えて、開けっ放しの部屋からリビングへ言葉を投げる。
「なにか買い物でもあるんですか?」
「いや、特になにも」
「え?…じゃあ何しに?」
「うーん…。ちょっと、散歩」
「散歩!?」
絶対的に出不精にしか見えない彼が、そんなことを思いつくわけがないとか思ってしまう自分。
聞き返す声が大きくなって、ためらいのなさに自分で笑ってしまった。
「なんで急に、散歩なんて」
しかももう夕方なのに、と付け加えてリビングに行くと、彼はスマホだけポケットに入れて待っていた。
「……まあ、一人で行くよりは、ふたりの方がいいかと思って」
それだけ言って、大地さんはさっさと玄関へ向かう。
“ふたりの方がいい”という何気ない言葉に、どこか救われる。
さっきまで感じていた距離が、少しだけほどけた気がした。
ふたりで一緒に、玄関のドアを開けた。
••┈┈┈┈••
寝落ちする前には彼はソファのいつもの定位置にいたはずなのに、まるで私が追い出したみたいにラグの上に座っている。
クッションも三つとも使ってしまっていて、はっとして起き上がる。
「あっ…すみません!寝ちゃってました」
「起きた?」
振り返った彼が、スマホをテーブルに置いてこちらを振り向く。
その顔は、少しだけやわらかかった。
「ぐいぐいこっちに来て、いつの間にか“こう”なったよ」
「このパターン多すぎて申し訳ないです…」
「もう慣れた」
「起こしてくださいよ!完全に夕方じゃないですか!」
すっかりいい感じにオレンジの光がベランダに差し込んでいるのを見て、日曜日が終わってしまう、と思った。
「……美月」
ぼんやりと外を眺めていたら、呼ばれて振り返った。
「ちょっと、外にでも出ない?」
意外な誘いに、思わず驚く。
「……どうしたんですか、急に」
思わずそう言ってしまってから、すぐに言い過ぎたかと慌てたけれど。
大地さんはまったく気にすることなく、
「そう?」
と言いながら立ち上がり、脱いでいたパーカーを着ている。
どうやら、断られるとは思っていないらしい。
たしかに断る理由もないので、私も寝室へシャツを取りに行った。
簡単に身なりを整えて、開けっ放しの部屋からリビングへ言葉を投げる。
「なにか買い物でもあるんですか?」
「いや、特になにも」
「え?…じゃあ何しに?」
「うーん…。ちょっと、散歩」
「散歩!?」
絶対的に出不精にしか見えない彼が、そんなことを思いつくわけがないとか思ってしまう自分。
聞き返す声が大きくなって、ためらいのなさに自分で笑ってしまった。
「なんで急に、散歩なんて」
しかももう夕方なのに、と付け加えてリビングに行くと、彼はスマホだけポケットに入れて待っていた。
「……まあ、一人で行くよりは、ふたりの方がいいかと思って」
それだけ言って、大地さんはさっさと玄関へ向かう。
“ふたりの方がいい”という何気ない言葉に、どこか救われる。
さっきまで感じていた距離が、少しだけほどけた気がした。
ふたりで一緒に、玄関のドアを開けた。
••┈┈┈┈••