あと30日で、他人に戻るふたり
「……この時間でも、人いるんですね」
「これが普通だよ」
特別なことではないようにあっさりと返されて、思わずもう一度ビルを見上げる。
「前は、ここで寝てたこともあるし」
「そういえばそんなことも言ってましたね。絶対ちゃんと休めないですよね?」
「……休めない、ってよりも」
彼も私と同じように、ビルを見上げて目を細めた。
「身動きしやすいから楽なんだよね。誰かに任せる方がストレスだから」
思わず足が止まる。
当たり前みたいに言うけれど、全然当たり前じゃない。
ガラス越しに見える明るいフロアが、急に遠く感じた。
「大変だなって思いません?そんなに頑張りすぎて」
彼が仕事に対してネガティブな言葉を発したのを聞いたことがない。
決して引き出したくて尋ねたわけじゃない。
ただ、まっすぐに向き合うことに疲れないのか心配になった。
でも、やっぱり答えは想像通りだった。
「大変だとか頑張ってるとか、全然感じてない」
大地さんはそれだけは、はっきりと言い切る。
「止まったらみんなが困るやつ扱ってるから、思ったことないよ」
ぽつりと付け加えられた言葉に、それ以上なにも言えなくなる。
一貫した考えに、「ですよね」とうなずくしかなかった。
そのまま、またゆっくりと歩き出した。
「これが普通だよ」
特別なことではないようにあっさりと返されて、思わずもう一度ビルを見上げる。
「前は、ここで寝てたこともあるし」
「そういえばそんなことも言ってましたね。絶対ちゃんと休めないですよね?」
「……休めない、ってよりも」
彼も私と同じように、ビルを見上げて目を細めた。
「身動きしやすいから楽なんだよね。誰かに任せる方がストレスだから」
思わず足が止まる。
当たり前みたいに言うけれど、全然当たり前じゃない。
ガラス越しに見える明るいフロアが、急に遠く感じた。
「大変だなって思いません?そんなに頑張りすぎて」
彼が仕事に対してネガティブな言葉を発したのを聞いたことがない。
決して引き出したくて尋ねたわけじゃない。
ただ、まっすぐに向き合うことに疲れないのか心配になった。
でも、やっぱり答えは想像通りだった。
「大変だとか頑張ってるとか、全然感じてない」
大地さんはそれだけは、はっきりと言い切る。
「止まったらみんなが困るやつ扱ってるから、思ったことないよ」
ぽつりと付け加えられた言葉に、それ以上なにも言えなくなる。
一貫した考えに、「ですよね」とうなずくしかなかった。
そのまま、またゆっくりと歩き出した。