あと30日で、他人に戻るふたり
「……そうですか」
言いながら、じゃあなんでないの、ともうひとりの私が頭の中で暴れ回る。
うろうろする私を見かねて、さすがに彼も気になったのかスマホを伏せた。
「……なにがなくなったの?」
ああ、来てしまった。一番聞かれたくない質問。
「……言えません」
「なんで?」
「言えません!」
一瞬、部屋がしんと静まり返る。
ちょっと、強く言いすぎたかもしれない。
たぶん、さらに私を怪しんでる。
「ヒントくらいは?」
やめて。クイズ形式にしないで。
そういう感じに持っていかれても、面白くない問題になってしまう。
絞り出すみたいに、濁して答える。
「……洗濯物です」
「それはそうでしょ。洗濯物の、なに?」
────詰んだ。
「……ブラです」
言った瞬間、終わった気がした。
もう、大地さんの顔は絶対に見れない。
「ブラ?」
無神経なひと!確認しないでよ。
「……ベージュのやつです」
なんで私、色まで言ってるんだろう。大バカ。
「ふーん。見つかるといいね」
こんなに恥ずかしい思いをして口にしたっていうのに、対する彼の受け取りが悲しいほど軽すぎる。
もう興味は失ったみたいに、伏せたスマホをまたいじり出した。
他人事にも程がある。
こっちは今、人生最大レベルで困ってるのに。
そのまま再び洗濯物とにらめっこをしていたら、おもむろに大地さんがソファから立ち上がった。
「風呂入ってくる」
「はーい……」
心ここに在らずで、気の抜けた返事を返しておいた。
絶対どこかにある。あるはずなのに。
いったいどこに行ったっていうの。
この家のどこかにあるのは間違いないのに。
返事をして!私のブラ!
「あー……」
遠くの洗面所から、間の抜けた大地さんの声が聞こえた。
その声の冷めた感じ、嫌な予感しかしない。
言いながら、じゃあなんでないの、ともうひとりの私が頭の中で暴れ回る。
うろうろする私を見かねて、さすがに彼も気になったのかスマホを伏せた。
「……なにがなくなったの?」
ああ、来てしまった。一番聞かれたくない質問。
「……言えません」
「なんで?」
「言えません!」
一瞬、部屋がしんと静まり返る。
ちょっと、強く言いすぎたかもしれない。
たぶん、さらに私を怪しんでる。
「ヒントくらいは?」
やめて。クイズ形式にしないで。
そういう感じに持っていかれても、面白くない問題になってしまう。
絞り出すみたいに、濁して答える。
「……洗濯物です」
「それはそうでしょ。洗濯物の、なに?」
────詰んだ。
「……ブラです」
言った瞬間、終わった気がした。
もう、大地さんの顔は絶対に見れない。
「ブラ?」
無神経なひと!確認しないでよ。
「……ベージュのやつです」
なんで私、色まで言ってるんだろう。大バカ。
「ふーん。見つかるといいね」
こんなに恥ずかしい思いをして口にしたっていうのに、対する彼の受け取りが悲しいほど軽すぎる。
もう興味は失ったみたいに、伏せたスマホをまたいじり出した。
他人事にも程がある。
こっちは今、人生最大レベルで困ってるのに。
そのまま再び洗濯物とにらめっこをしていたら、おもむろに大地さんがソファから立ち上がった。
「風呂入ってくる」
「はーい……」
心ここに在らずで、気の抜けた返事を返しておいた。
絶対どこかにある。あるはずなのに。
いったいどこに行ったっていうの。
この家のどこかにあるのは間違いないのに。
返事をして!私のブラ!
「あー……」
遠くの洗面所から、間の抜けた大地さんの声が聞こえた。
その声の冷めた感じ、嫌な予感しかしない。