あと30日で、他人に戻るふたり
重い足取りでマンションへ帰宅途中、ふといつかもお弁当をテイクアウトしたカフェの前で立ち止まる。

ボリュームがあって残したロコモコ丼を、大地さんはぺろりと食べてくれたんだっけ。


好きそうだったから買って帰ろうかな、と思って時計を見る。

十九時半。
カフェのラストオーダーは終わっていた。

諦めて、スーパーに立ち寄って値引きされているお惣菜をいくつか買って、マンションへ帰った。


今日はもう帰ってきているんじゃないかと思っていたのに、玄関を開けても真っ暗だった時のダメージといったら。

「……ただいま」


返事があるはずもない、暗い廊下に向かって言葉を投げる。

まだ、帰ってきてない。
その事実だけが焼き付いて、買ってきたお惣菜の量がひとりじゃ食べきれないと思ってしまう。


お米だけは、と炊飯器をセットしてソファへ寝転がる。

今日はお惣菜があるし、と気を緩めてスマホを取り出したところへちょうどメッセージが届く。


よぎったのは大地さんの顔なのに、メッセージの差出人は“八代 修”の文字。
『詳細送るね』って言っていたじゃないか。

予想通りの内容だった。

『今週末の土曜日、小金井駅に十九時くらいで
店は適当に予約しておく
穂村入れて六人だからよろしく』


断る余地もなく、行くしかなさそう。

スマホでスケジュールを見るも、特に予定もないから行けてしまう。
土日は貴重な休みだけど、営業の八代さんからすれば普通に仕事があるわけで、週末に飲みに行くのは自然な流れだ。


土日か────。

どうしてもチラついてしまう、大地さんとの時間。

バカだな、なんで彼のことを真っ先に考えてしまうんだろう。


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