あと30日で、他人に戻るふたり
軽く息をついて、ひとまず夕飯の準備をするために立ち上がる。
キッチンでお惣菜を取り分ける。
お皿を二枚出して、盛り付けたあとに手を止めた。
────今日も帰ってこないなんてこと、ないよね?
連絡のないスマホをチラッと見たあと片方のお皿にラップをして、炊き上がったご飯とお惣菜を手にリビングへ戻る。
ついでに缶チューハイも添えた。
テレビの音を流しながらいつもみたいにラグに座ってご飯を食べる。
画面では誰かが笑っているのに、部屋の空気はやけに静かだった。
さっきまで気にならなかったはずの音が、少しずつ遠くに感じる。
箸を動かす音と、缶チューハイのプルタブを開けた時の金属音だけがやけに耳に残る。
すると、不意にどこかから音が聞こえた。
……今、なにか聞こえた?
カタン……、……コト…。
なんの音?と部屋の中を見回したけれど、特になにか落ちた様子もないし、動いてもない。
気のせい?と再びチューハイを飲んでいると、また音がした。
コトッ……、カタカタ……。
──気のせい、じゃない。
今度は確信が持てた。
こんな時に野崎課長の言葉が蘇る。
『なんかこの部屋だけ、いっつも人がすぐ出ていくんだよね。事故物件とかじゃないんだけどさ』
『気づいたことがあれば、逐一報告してね』
急に呼吸が浅くなる。
いやいやいやいやいや。ひとりの時にそういうの、マジでいらないんだってば。
キッチンでお惣菜を取り分ける。
お皿を二枚出して、盛り付けたあとに手を止めた。
────今日も帰ってこないなんてこと、ないよね?
連絡のないスマホをチラッと見たあと片方のお皿にラップをして、炊き上がったご飯とお惣菜を手にリビングへ戻る。
ついでに缶チューハイも添えた。
テレビの音を流しながらいつもみたいにラグに座ってご飯を食べる。
画面では誰かが笑っているのに、部屋の空気はやけに静かだった。
さっきまで気にならなかったはずの音が、少しずつ遠くに感じる。
箸を動かす音と、缶チューハイのプルタブを開けた時の金属音だけがやけに耳に残る。
すると、不意にどこかから音が聞こえた。
……今、なにか聞こえた?
カタン……、……コト…。
なんの音?と部屋の中を見回したけれど、特になにか落ちた様子もないし、動いてもない。
気のせい?と再びチューハイを飲んでいると、また音がした。
コトッ……、カタカタ……。
──気のせい、じゃない。
今度は確信が持てた。
こんな時に野崎課長の言葉が蘇る。
『なんかこの部屋だけ、いっつも人がすぐ出ていくんだよね。事故物件とかじゃないんだけどさ』
『気づいたことがあれば、逐一報告してね』
急に呼吸が浅くなる。
いやいやいやいやいや。ひとりの時にそういうの、マジでいらないんだってば。