あと30日で、他人に戻るふたり
妙に楽しそうな彼の横顔を見ながら、不思議に思って尋ねる。

「お好み焼き、好きなんですか?」

「あー、人並みだとは思う。でもなんか、屋台とか店で食べるものってイメージだったから。文化祭みたいだなって」

彼のお好み焼きに対するイメージへの偏りがすごい。
こらえられなくて笑ってしまった。

「文化祭なんて、大地さん絶対やる気なかったタイプでしょ?」

「友達と後夜祭の花火を見に行ったりはした」

「────サボってたんだ」


どんな高校生だったかなんて、知らないはずなのに。
なぜか想像できてしまう。

「私はね、実行委員とか押しつけられてました」

もう十年近くも前の話をするのも懐かしすぎて変な感じがしたけれど、彼は「やっぱりね」とふわりと微笑む。

「昔からお人好しなんだな」

「そんなの、言われたことないですよ」

「みんな言わないだけなんじゃないの」


どうでもいい話をしながら、大地さんが切った野菜を次々にボウルに放り込んでいく。

いつもは細々としている私が本当に目分量で小麦粉や水、そしてだしと卵を入れていくからか、あまりにも雑な私を驚いたような目で見ていた。

「じゃ、焼きますよー」

熱したフライパンに油を敷いて、生地を広げる。


「フライパンで出来るもんなんだ」

「ホットプレートの方がひっくり返しやすいですけどね」

「買おうか?」


彼が発した何気ない一言に、私の手が止まりかけた。

それを気づかれないように慌ててフライパンを揺する。
こびりつかないように、何度も。

「大丈夫ですよー。綺麗にひっくり返してみせます!」


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