あと30日で、他人に戻るふたり
小金井駅に着くと、改札前にはすでに今日の飲み会のメンバーが集まっていた。


見慣れたスーツ姿なのは、営業部の四人。
おそらくみんな仕事終わりだ。

ひとりだけスーツではない服なのが、私と同じ開発側の竹中さんだった。
彼も私と一緒で休みだからだ。


「あ、穂村さん!お疲れ様!待ってたよー」

最初に手を振ってきたのは浅井さんだった。
テンション高めで、ヒールを鳴らしながら私に近づくと腕を組んできた。

「こんばんは。お疲れ様です」


挨拶を返すと、浅井さんが私を上から下まで興味深げに見る。

「わぁー、今日ちゃんと私服だー。なんか新鮮」

「やめてください、恥ずかしいです」

笑ってそう言うと、その少し後ろで八代さんがこちらに視線を送ってきた。

「お疲れ、穂村。迷わなかった?」

「はい、大丈夫です」

「よかった。じゃ、揃ったし行こうか。店、こっち」


八代さんを先頭にして、私たちはぞろぞろ歩き出す。


「竹中さん、なんか疲れてません?」

浅井さんが離れたところからついてくる竹中さんに声をかけると、彼は「分かる?」と苦笑いをしていた。

「休みっていうと子供たちの買い物に付き合わされてさ」

「あー、お子さん三人でしたっけ」

「そうそう」


二人の会話を聞きながら、さすが浅井さんは営業だな、なんて思ってしまう。
あまり自分のことを話さない普段は静かなイメージのある竹中さんから、こんなに色々なことを引き出す力がある。

今日の飲み会にそんな営業部の人達が四人もいるということが、少し楽しみになりつつもあった。


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