あと30日で、他人に戻るふたり
八代さんが予約してくれていたお店は、駅から近くの少し賑やかな居酒屋だった。
居酒屋といっても、チェーン店のようなごちゃつきはない、小洒落たお店。

八代さんらしいチョイスだった。


ガラスのジョッキがぶつかる音と、焼き物の匂い。

週末らしい騒がしさが店中に広がっている。


『Reserve』と書かれた席に通され、私たちは適当に座った。

壁際に浅井さんと竹中さんに挟まれるように私が真ん中に座り、この二人が隣にいてくれることに安心する。

私の真向かいには八代さんが座り、中村さんと齋藤さんがサイドに座る形になった。


「みんなまず生でいいっすかー?」

中村さんが先陣を切って返事を待たずに勝手にビールを注文。
一気に運ばれてきて、急かされるようにジョッキを持たされた。


「お疲れ様でーす!かんぱーい!今日は飲んじゃいましょ!!」

もう、どこかで引っかけてきたのか?
というような明るさで、中村さんはとんでもない早さでビールを半分くらい飲み干してしまった。


「なに頼むー?」

「焼き鳥がいいな」

「俺は刺身盛り〜」

「僕はとりあえず唐揚げ!」

「ポテサラ食べたーい」

口々にあれこれ希望のメニューを言うので、まとまりきらないまま八代さんが店員さんを呼び止めてなんとなく頼んでくれている。


ひと通り頼んだものがテーブルに並び始めた頃。
私たちは仕事の話で盛り上がっていた。


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