あと30日で、他人に戻るふたり
私が言い返した直後、ソファの上でうたた寝していたらしい大地さんが顔をしかめた。


「……なに?…うるさいな」

彼は寝ぐせのついた髪の毛をわしゃわしゃかくと、身を起こしてこちらを見た。


そして、この状況を整理するのに時間がかかっているのか私と後ろにいる見知らぬ男二人を何度も視線が往復する。

「─────誰?」


寝起きだからか不機嫌そうな声は出してるけど、顔はいつもと変わらない。

いったん紹介くらいはしなければ、と焦って二人を紹介する。

「あっ、えっと…会社の先輩です。営業部の八代さんと、中村さんで…」

「先輩?」

「メッセージ、送ったんですけど」


一拍遅れて大地さんが思い出したようにスマホに指を滑らせた。
そしてだるそうに目を細める。

「ごめん。寝てて見てなかった」


低温の彼に対して、すかさず中村さんが営業らしい明るいスマイルを向けた。

「どーもー!中村です!同居人さんですか?」

ぶしつけすぎる言い方を気にしてか、被せ気味に八代さんも中村さんに合わせて挨拶をする。

「夜遅くにすみません。急に押しかける形になっちゃって」


大地さんの視線が、一瞬だけ私の顔に止まった。
なにかを言いたげな表情をしているけれど、それを読み取れない。

「……あー、はい」

低い声でそれだけ返して、彼はソファから立ち上がった。


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