あと30日で、他人に戻るふたり
昼間の日曜の商店街は、想像以上に賑わっていた。


前回の散歩で来た時には夕方から夜にかけてだったから、閉まっていたお店もあったけれど。
今日はちゃんと全部やっている。

そして、人がたくさんいた。


老若男女、家族連れはもちろん、若い学生たちやお年寄りが多く歩いていて、ところどころ行列もできている。

アーケードが日差しをいい具合に防いでくれて、例の“白か黒か問題”はいったん保留になったような気がした。


チェーン店や個人経営のお店が混在しているその商店街は、キラキラしているというよりも、昔ながらの商店街だった。


「やっばぁーーーい。どこから行きます?」

揚げ物の匂いや甘い匂い、しょっぱい匂い。
そこらじゅう、いい匂いが立ち込めていて、テンションが上がってしまった。

「どこからでもいいよ。なに食べる?」

「えぇっ、決められない!」

決定権を委ねられると、なおさら迷ってしまう。


「あの女子高生たちが食べてるの、なんだと思います?あれ気になります」

道行く若い高校生の集団が手にしている、平べったい大きなおせんべいみたいなのが気になってちらちら見てしまう。

「歩いてれば店がどっかにあるんじゃない?」

「大地さん、聞いてきてください」

「やだよ。変なおじさんじゃん、俺」

あまりにも表現が自虐っぽくて、声を出して笑ってしまった。

「おじさんは、メタボになってから。でしょ?」

「お酒は二十歳になってから。みたいな言い方だな」


隣を見ると、彼もちゃんと楽しそうに笑っていた。

それだけで安心する。
ああ、私だけが楽しいんじゃないんだな、と。

私が言い出して無理やり連れ出したみたいになっていたら、ちょっとつらいなと思っていたから。

でもそうではなさそうな顔で歩いているから、すごくほっとした。


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