あと30日で、他人に戻るふたり
やがて商店街の一角にひとつのお店を見つけて、先に足を止めたのは私だった。

「あ、ここめっちゃおしゃれ!入ってもいいですか?」


ナチュラルな雰囲気の雑貨屋で、店先には観葉植物やガラス食器が並んでいる。
たぶん、お店の中にはもっと生活雑貨や小物もありそう。

明らかに縁遠そうな大地さんが観葉植物をまじまじと見つめてつぶやいた。

「こういう店、なに見ればいいか分かんない」

「せっかくですから入りましょう。掘り出し物、あるかもしれませんよ」

「掘り出し物?」


店先でうだうだ言っててもしょうがないので、私は半ば彼を引っ張るように中へ入った。


中には帽子やバッグ、ルームウェア、衣類も置いてあった。
所狭しと並んでいるセレクトショップ感のあるこのお店は、完全に私の好みだった。

興味がなさそうに後ろをついてきていた大地さんが、なにかを見つけたのか身を屈めている。

「あ、サンダル…」

たまたま視線の先にあった、男性向けっぽいサンダル。


「聞いてみます?他にもあるか」

私が提案するも、彼は「いや」とあまり気乗りはしていないような顔をしている。

たぶん、こういうお店自体が苦手なのだろう。

「サンダルは別のお店にしますか?」

「うーん…」

「欲しいの?欲しくないの?」

「欲しい」


わりと即答されて、また笑いが込み上げる。

今日は、なぜか大地さんに笑わされている気がする。別になにか面白いことを言ってくるわけでもないのに。


「まずデザイン決めましょ。どんなのがいいですか?」

店内を見回しながら彼に聞いてみたけれど、やっぱりここは彼らしさ全開で。

「えっ…別になんもない。足が涼しければ」

「なにそれ…」

「そんな絶望的な目で見なくても」

絶望的な目では、見てないつもりだったんだけど。
言われるまで自覚はなかった。


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