あと30日で、他人に戻るふたり
簡単にメイクを済ませて着替えてリビングへ戻ると、大地さんも準備を終えたらしくもうラグの上に座っていた。
テーブルの上にはまだ手付かずの食パンと、湯気の立ったコーヒー。
彼は頬杖をついて、なんとなくテレビを見ている。
戻ってきた私に気づくと、ふと笑った。
「……食べる?」
「待っててくれたんですか?」
「うん」
いつも、そう。
彼は自分の行動を隠さないし、わざとらしく見せつけたりもしない。
待っていたことも、当たり前みたいに言う。
少し前までは勝手に食べていたのに、もう今日はそうじゃない。
重かった気持ちが、少しだけ晴れていく。
「今日、私……朝ごはんなにもしてないです」
そう言いながら隣に座ると、別に気にした様子もなく彼は淡々と
「たまにはいいんじゃない?」
なんて返してくるから不思議だ。
コーヒーと焼いてないそのままの食パンが、最高の朝食に思えた。
「「いただきます」」
ふたりで手を合わせて、まずはコーヒーをひと口飲む。
朝が来たな、とこの味と香りで思い知らされる。
ニュース番組から月曜日の朝独特の空気がゆっくりと部屋に流れ込んでくる。
時計を気にしながら、朝ごはんをふたり並んで食べた。
一緒に玄関を出て、いつもみたいにマンションの外で別れる。
「じゃあ、行ってきます」
「いってらっしゃい」
お互いに声をかけて、歩き出す。
ふと後ろを振り向くと、見慣れた背中の大地さんが遠ざかっていく。
いつもの黒いスニーカー。
いつもの無愛想な歩き方。
なのに今日は、どうしてか少しだけ安心してしまった。
その背中が見えなくなるまで、なんとなく見送る。
やっと見えなくなったところで、ようやく私も再び歩き出した。
••┈┈┈┈••
テーブルの上にはまだ手付かずの食パンと、湯気の立ったコーヒー。
彼は頬杖をついて、なんとなくテレビを見ている。
戻ってきた私に気づくと、ふと笑った。
「……食べる?」
「待っててくれたんですか?」
「うん」
いつも、そう。
彼は自分の行動を隠さないし、わざとらしく見せつけたりもしない。
待っていたことも、当たり前みたいに言う。
少し前までは勝手に食べていたのに、もう今日はそうじゃない。
重かった気持ちが、少しだけ晴れていく。
「今日、私……朝ごはんなにもしてないです」
そう言いながら隣に座ると、別に気にした様子もなく彼は淡々と
「たまにはいいんじゃない?」
なんて返してくるから不思議だ。
コーヒーと焼いてないそのままの食パンが、最高の朝食に思えた。
「「いただきます」」
ふたりで手を合わせて、まずはコーヒーをひと口飲む。
朝が来たな、とこの味と香りで思い知らされる。
ニュース番組から月曜日の朝独特の空気がゆっくりと部屋に流れ込んでくる。
時計を気にしながら、朝ごはんをふたり並んで食べた。
一緒に玄関を出て、いつもみたいにマンションの外で別れる。
「じゃあ、行ってきます」
「いってらっしゃい」
お互いに声をかけて、歩き出す。
ふと後ろを振り向くと、見慣れた背中の大地さんが遠ざかっていく。
いつもの黒いスニーカー。
いつもの無愛想な歩き方。
なのに今日は、どうしてか少しだけ安心してしまった。
その背中が見えなくなるまで、なんとなく見送る。
やっと見えなくなったところで、ようやく私も再び歩き出した。
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