あと30日で、他人に戻るふたり
電車に揺られて会社に着いたところで、入口で一度立ち止まる。
見上げたガラス張りのビルは、土曜日の夜なんてなかったみたいにいつも通りそこに建っている。
『押したら余裕で全然いけると思ってたんだよ』
『あの手の子って、すぐやれそうだもんな』
あの夜、八代さんたちが話していた私への言葉をどうしても思い出してしまった。
足が、なかなか動かない。
周りの人たちが次々に私を追い越して、入口へ吸い込まれていく。
行かなきゃいけないのは分かってるのに。
逃げたくないのに。
負けたくないのに。
動けない自分が、悔しい。
その時、ポケットに入れていたスマホが震えた。
なんだろう、とスマホの画面をつけたら大地さんからメッセージが来ている。
……あっちから連絡が来るなんて珍しいな、と首をかしげて通知を押すと、一言だけ届いていた。
『今日、早く帰る』
ものすごく短くて、なんの感情もなさそうなその一文に、ふっと笑いがこぼれる。
「……頑張ろう」
ぎゅっとスマホを握りしめて、私は息をついて一歩踏み出した。
今度は、ちゃんと自分の意思で。
••┈┈┈┈••
見上げたガラス張りのビルは、土曜日の夜なんてなかったみたいにいつも通りそこに建っている。
『押したら余裕で全然いけると思ってたんだよ』
『あの手の子って、すぐやれそうだもんな』
あの夜、八代さんたちが話していた私への言葉をどうしても思い出してしまった。
足が、なかなか動かない。
周りの人たちが次々に私を追い越して、入口へ吸い込まれていく。
行かなきゃいけないのは分かってるのに。
逃げたくないのに。
負けたくないのに。
動けない自分が、悔しい。
その時、ポケットに入れていたスマホが震えた。
なんだろう、とスマホの画面をつけたら大地さんからメッセージが来ている。
……あっちから連絡が来るなんて珍しいな、と首をかしげて通知を押すと、一言だけ届いていた。
『今日、早く帰る』
ものすごく短くて、なんの感情もなさそうなその一文に、ふっと笑いがこぼれる。
「……頑張ろう」
ぎゅっとスマホを握りしめて、私は息をついて一歩踏み出した。
今度は、ちゃんと自分の意思で。
••┈┈┈┈••