あと30日で、他人に戻るふたり
むしろ、彼は『ざく切り』オンリーでここまで来ている。
結局まだ千切りもいちょう切りも教えていないわけで。

「得意のスマホで調べたらいいじゃないですか」


そう言えばすぐ取り出して検索してくれると思って何気なく言ったのに、大地さんは忘れてたみたいに顔を上げた。

「…あ、スマホどこだっけ。たぶんカバンの中」

「えっ、なんで?」

「別に今はいらないと思ったから」


答えてから、彼はひとり考えるようにどこか見ている。

そうか、スマホで料理を調べられるのか、とか。
そんなことを思ってるんだろう。


「まあ、カレーなんで。いい具合に切ってください。ざく切りでもいいです」

深く考えなくていいのがカレーのいいところだ。

玉ねぎ、じゃがいも、人参、ナス、ズッキーニ、トマト、パプリカを次々に彼に渡していく。


「やばい。今日めちゃくちゃ俺の出番が多い」

あまりにも種類があるからか、隣で急に慌て始める。

「しかも、見たことない野菜もある」

「いいんですよ、適当で」

「大きめでもいいの?」

「煮込むから、多少は大きめでもいけます」


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