あと30日で、他人に戻るふたり
「「いただきます」」

まだ湯気が立ちのぼるそれをスプーンですくい上げて、柔らかいお米とルーを混ぜて口に運ぶ。

色々トラブルはあったけれど、結局は──。

「…美味しい」

「うまいな」

ほぼ同時につぶやいていた。


ゴロッゴロにも程がある具の主張がすごいカレールーと、柔らかくて水っぽいお米の相性が妙にいい。

噛み合わないはずのそれがこんなにマッチすると思ってなかったから、食べながら笑いが混ざる。


「ふふっ、この人参、見てくださいよ」

「……でかいな。誰が切ったんだ?」

「ね。誰でしょうね」

私のスプーンに乗せられた人参が、“見てよ”って言ってるみたいに大きい。

「これも、ちょっと大きかったかな」

彼のスプーンには、私の人参より主張しているズッキーニ。


「次はちゃんと一口大に切ってくださいね」

「うん。もう大丈夫。次はちょうどいいサイズにできると思う」


会話しながら、はっと私だけが息を飲む。
……今、つい“次は”なんて言ってしまったけど。

なんとも思っていないように、無心でカレーを食べている彼の横顔を眺める。


無意識に、“次”とか“今度”とか。
口にすればするほど、終わりが見えてきそうで。

打ち消すみたいに、私もカレーを口に運んだ。




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