あと30日で、他人に戻るふたり
私がそこまで話したところで、優奈が「はっ!?」と面食らった声を出した。

タイミングよく、料理が運ばれてくる。
ハワイアンな柄のエプロンをつけた女性が両手にお皿を持って、笑顔で

「お待たせしましたー!」

とどっちがどっちの料理なのかも確認せずにポキライスとガーリックシュリンプを適当に置いていった。


……お皿、逆です。

と私がいそいそ優奈にポキライスを渡すと、お皿を受け取った彼女が食い気味に尋ねてくる。


「ねえ、待ってよ。まだいるの?その同居人?」

「えっ?うん。一ヶ月で出ていくって話だから、まだあとちょっといるよ」

「そっちにびっくりだわ。すっかり忘れてた!」

「ちょうどあと一週間切ったくらいかな…」

認めたくもない事実を言ってしまって、ため息が出そうになる。


しかし私のその感傷に浸りかけている気持ちより先に、優奈はスプーンを片手に首を振るのだった。

「さっさと追い出せばいいのに!」

「並行募集だったから、仕方ないんだって」

「他人と暮らすってキツくない?」

「……全然。そんなんじゃない」


むしろ、居心地がいいくらい。

気を緩めると溢れそうになる“好き”の気持ちを、優奈に悟られないように蓋をする。

「まあ、変な人ではあるけど。それこそ、いいひと」

「“いいひと”ねぇ。たとえば?」

ようやくポキライスにスプーンを差し込んだ優奈が、ひと口食べ始めた。
私も彼女に続いて、エビを口へ運ぶ。

ぷりぷりした食感で、味付けもしっかりしている。美味しい。


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