あと30日で、他人に戻るふたり
くよくよ悩んでいたはずなのに。
一緒に朝ごはんを食べたからなのか、なんなのか。
別に会話が弾むでも、なにか特別なことがあったわけでもないのに。
そのまま土曜日の午前中は動き出してしまった。
洗濯を回して、掃除をして、なんの変哲もない週末が回る。
なんとなく、食器棚の収納を見直そうと折りたたみの踏み台を出す。
ああでもないこうでもない、とあれこれお皿を取り出しては入れ替えしていると、食器の音が聞こえたからか大地さんが顔を出してきた。
「何してんの?」
「ちょっと食器の位置を変えようかなって…」
「あー…」
狭いキッチンに、またふたり並ぶ。
踏み台に乗っている私と、ただ立っているだけの彼の身長差が消えて、目線も並んだ。
「へぇ、大地さんの目線てこんな感じ?」
「うん」
なにも意識していなかったとかじゃない。
逆に目線が揃ったことで、存在がだいぶ近く感じてしまって、目が合いかけて私から逸らす。
彼にそれが伝わったかどうか分からないけれど、確認する勇気もない。
「なんでこんな身長に合わない食器棚使ってるの?」
私が出したお皿を彼が受け取りながら、いったんカウンターに並べていく。
その作業中に尋ねられて、以前住んでいたアパートのことを思い出す。
「うーん…、このメーカーの家具が可愛いなってずっと思ってて」
「うん」
「前に住んでたアパートはここより古くて、セキュリティーも甘くて、でも私の身の丈には合ってたんですよ」
「…うん」
「でもね、いつかもっとちゃんとしたところに住みたいなって思って。で、家具だけでも好きなもの買って、気分上げたくて」
「それが、これ?」
一緒に朝ごはんを食べたからなのか、なんなのか。
別に会話が弾むでも、なにか特別なことがあったわけでもないのに。
そのまま土曜日の午前中は動き出してしまった。
洗濯を回して、掃除をして、なんの変哲もない週末が回る。
なんとなく、食器棚の収納を見直そうと折りたたみの踏み台を出す。
ああでもないこうでもない、とあれこれお皿を取り出しては入れ替えしていると、食器の音が聞こえたからか大地さんが顔を出してきた。
「何してんの?」
「ちょっと食器の位置を変えようかなって…」
「あー…」
狭いキッチンに、またふたり並ぶ。
踏み台に乗っている私と、ただ立っているだけの彼の身長差が消えて、目線も並んだ。
「へぇ、大地さんの目線てこんな感じ?」
「うん」
なにも意識していなかったとかじゃない。
逆に目線が揃ったことで、存在がだいぶ近く感じてしまって、目が合いかけて私から逸らす。
彼にそれが伝わったかどうか分からないけれど、確認する勇気もない。
「なんでこんな身長に合わない食器棚使ってるの?」
私が出したお皿を彼が受け取りながら、いったんカウンターに並べていく。
その作業中に尋ねられて、以前住んでいたアパートのことを思い出す。
「うーん…、このメーカーの家具が可愛いなってずっと思ってて」
「うん」
「前に住んでたアパートはここより古くて、セキュリティーも甘くて、でも私の身の丈には合ってたんですよ」
「…うん」
「でもね、いつかもっとちゃんとしたところに住みたいなって思って。で、家具だけでも好きなもの買って、気分上げたくて」
「それが、これ?」