あと30日で、他人に戻るふたり
確認みたいに言われて、小さくうなずいた。

「くだらないでしょ。…それでも、これ奮発して買ったんですよ」

「別にいいんじゃない?」


“くだらない”という言葉を私は使ったのに、彼は使わなかった。
彼はこういう感情論を嫌いそうなのに。

「そういうの、美月らしいよ」


白くて素材も綺麗な、ちょっとだけ高価な。
周りの同僚は自分へのご褒美で、ブランド物のバッグやお財布を買っていた中、私はこの食器棚を買った。

これひとつに、炊飯器や電子レンジ、トースターを置ける。
そして、たくさんの食器も同じところに。

便利で可愛くて、キッチンに立つのが好きになれように。


今は、好きな人とそれを使っている。
なんだか不思議な心地がした。


「あんまり使わないものを上に置いて、手が届きやすいところにコップ置いたら?」

「使わない食器かぁ…どれだろう」

一度、カウンターに取り出した食器をふたりで見て悩む。

「このでかい皿は?」

「それは、友達の結婚式で引出物でもらった綺麗なお皿です!」

「じゃあこれは?」

「同期と陶芸教室で作ったお皿で…」

「この部屋に来てから、一回も見たことないけど。使ってないよね?」

「……論破された」


私が不満を込めてつぶやくと、大地さんはまったく動じることなく首を振った。

「論破じゃない。事実」

「なんか、こう…あるじゃないですか!目に見えるところにあった方が気持ちが落ち着くやつ!」

「ない」


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