あと30日で、他人に戻るふたり
土曜日の中華料理屋は、当たり前に混んでいた。

わざわざ傘をさしてまで出かけたのだから、行列に並ぶしかない。


「…腹減った」

彼がそう言うのも分かる。
いい匂いが、さっきからずっとしている。

待ち時間に飽きた小さな子供が、傘を振り回して走ったりして、父親につかまっている光景も微笑ましい。

「回転率は良さそうですよ」

出てくるお客さんが多いので、順番はすぐに来そうだ。


外にずらっと写真付きで並んでいるメニューを、ふたりで眺める。

「なに食べる?」

「やっぱり中華そばかなぁ」

「俺はチャーシュー麺がいい。…あ、餃子食いたいな」

美味しそうな餃子の写真に食いつく大地さんの顔を、はっとして振り返る。


「あっ、今日…、夜は餃子の予定です」

「──半チャーハンに変える」

その決断も早すぎた。


あっという間に行列は前に進んでいき、私たちもわりとすぐに店内へ入れた。


広いお店には、ずらっと並んだカウンター席とたくさんのテーブル席、座敷の席もいくつかある。

家族でも来やすい、気さくな雰囲気の店内。
賑わう理由が伺える。


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