あと30日で、他人に戻るふたり
カウンター席に通され、注文したラーメンが届くまでの間、ぽつりぽつりと会話する。

「餃子って、ちゃんと作るやつ?冷凍?」

「普段は冷凍です」

「……今日は?」

「作ってみようかなって思って、皮だけは買ってて」


わりと手抜きのご飯が多めの私が、ちょっとだけ手の込んだものを作ろうと思ったのは。
紛れもなく、隣にいる彼のせいなんだけど。

それは言わない。

餃子って、作るとき楽しそうだから。

最後の週末になにを作りたいかと聞かれたら、ふたりでちゃんと作れるものがよかった。

それで考えたのが餃子だった。
今日まさか、中華料理屋に来るなんて思ってもいなかったから。


「今日は中華率高めだな」

ふわりと笑った大地さんの横顔は、少しだけやわらかかった。

「……餃子作る時、握りつぶさないでくださいね」

「誰に言ってんの?」

「大地さん以外にいます?」

「丁重に扱うよ。大事に優しく触る」

「お願いします」


なんの話をしてるのか、ふたりで笑ってしまった。



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