あと30日で、他人に戻るふたり
放置されたままのダンボールと書類。
朝から変わらないリビングの風景。


そのテーブルには、餃子の具材が入ったボウルと、大量の皮。
私と大地さんが並んで座って、流れ作業みたいに皮に包んだ餃子を置いていく。


「……なんで美月のは、そんな“餃子っぽい”形になるの?」

ちらっとこっちを見て、ものすごく不服そうな顔になっている人がいる。

そんなことを言われても。
私はわざとらしく首をかしげた。

「さあ?指先の器用さの問題ですかね?」

「その模様みたいなの、どうやって作るの?」

「うわっ!そっち、具材パンパンすぎます!」

いびつにも程がある、と言いたくなるような面白い形の餃子らしき物体が転がっている。


だからさ、と大地さんが眉を寄せた。

「繊細な作業すぎて俺には無理かもしれない」

「丁重に扱うって意気込んでたのに!」

私が言い返したら、ぐっと言葉に詰まっている。

「こんなに難しいと思わなかった」

「慣れです、頑張りましょ」

「励まされるとむかつくな」


小言ばっかり言い合いながら、餃子を作っていく。

この空気感が、私たちのいつもの日常だ。
どうでもいい話をだらだらとしながら、テレビをかけっぱなしにして見もしないでしゃべる。

これがなによりの時間だった。


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