あと30日で、他人に戻るふたり
だいぶ苦戦したようだけれど、大地さんの分の餃子も包み終わった。

テーブルに並んだのは、個性豊かな形の餃子。
ひとつひとつ手で包んでいて、同じ形のものはない。


「やっと終わったー!」

「達成感すごい」

餃子をキッチンへ運びながら、汚れた手を順番に洗う。

大地さんが作った餃子は一目瞭然なぐらい、極端に大きかったり極端に形がゆがんでいる。
だんだんとそれも味があるように見えてくるから不思議だ。


「あとはアレですね…、餃子を焼く時にフライパンにこびりつかないか心配」

「パリッと焼いてほしい」

「ですよねぇ」

フライパンを取り出して、いざ餃子を焼こうとした時。


リビングから着信音が聞こえた。
私も、隣にいた大地さんも動きが止まる。

思わず彼を見上げると、その場に立ったままなかなか行こうとしない。

「大地さん?呼び出しなんじゃないですか?」

声をかけたら、やっと彼はキッチンを出ていった。


……神様は、意地悪だ。

こんな残り少ない限りある時間の中で、それさえも奪おうとする。
だけど、彼の性格上、仕事を優先するのは分かってる。

だから、笑って見送らなきゃいけない。
そう心に決めてフライパンの火を止めたのに。


リビングから聞こえてきた言葉は、意外なものだった。


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