あと30日で、他人に戻るふたり
帰宅してからは、暑すぎてエアコンをちゃんとガッツリ稼働させた。

「暑い」「だるい」しか言わない大地さんの希望で、お昼は簡単にそうめんで済ませた。


そしてやっぱり、午後も彼は荷造りを再開する様子はない。
ひたすらソファでゴロゴロしている。


「……なんか映画でも観る?」

そういう質問をしてくるあたり、完全に引越し準備なんてやる気ないじゃん。

でも、隣から離れることもしたくなくて、私もソファに寝そべったままうなずく。

「大地さんってどんなの観るんですか?」

「こだわりはない」

「考察系はなしで!」

「アクションとか?」


リモコンを操作して彼が勝手に適当に選んだ映画がテレビに映る。

「これ、めっちゃシリーズ化してるやつじゃないですか。最初のしか見てないです」

「俺は一回もない」

「あんなに話題になったのに!?」

うだうだ言ってるうちに、映画が始まる。


大人気シリーズの第一弾。
私がだいぶ前の学生の頃に、実家で家族で見たくらいの記憶のものだ。

薄暗い不穏な空気から始まるゾンビ映画だった。


静かなシーンから、音で観ている側を怖がらせようとする演出。突然出てくる不気味なゾンビ。

一度見たはずなのに、展開をほとんど忘れていて時折肩が揺れる。


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