あと30日で、他人に戻るふたり
そんな私の横で、大地さんが半笑いで画面を眺めていた。

「あー、絶対感染するだろこいつ」

「なんで分かるんですか?」

「読めるでしょ、普通に」

そう言っている間に、彼が予想したまんまの展開になってこちらまで笑ってしまった。

「そんでさ、今仲間になったやつが裏切るんだよ」

「…ねぇ、絶対観たことあるでしょ?」

「初見だって」

「絶対うそ!」


もう途中からは、予想合戦。

テレビ画面では壮絶なアクションを交えた緊迫したシーンが続いていると言うのに、私たちは会話が止まらなかった。


映画も半分ほど進んだ頃、クッションを抱えていた私の腕が無意識に外れる。
ぽろっとそのクッションが床に落ちたけれど、もう動けない。

…やばい、眠い。
だらだらしすぎると、こういう事態に陥る。

まどろみの中で、映画の中のヒロインだけが真剣な表情でこちらを睨んでいた。


そこから意識が途切れて、はっと目が覚めた時には映画のエンドロールが流れていた。

後半の記憶がほとんどない。


隣を見やると、大地さんもしっかり寝ている。
クッションを枕にして、腕を組んだまま寝息を立てていた。

寝ている姿は、いつもの彼とは別人みたいだった。

いつもはあんなに他人との距離を取るくせに、今は私のすぐ隣で無防備に眠っている。


……こういうところが、ずるい。

このまま時間が止まればいいのに。
そんなことを思った瞬間、胸の奥がじわりと熱くなる。


そっとソファから立ち上がって、ベランダではためいている洗濯物を眺めた。

朝とは違って、夕日が照らしている。

────今日が終わっちゃう。


ほんの少し寂しさを残しながら、ゆっくりベランダを開けて洗濯物を取り込んだ。



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