あと30日で、他人に戻るふたり
「……え?なんの話してます?テレビ?」

意識がテレビに向いていたので、ここでようやくそうじゃないのかもしれない、と気づいて身体を起こす。


「ネックレス」

そう言った彼は、手になにかを持っていた。

シルバーの、華奢なデザインの見慣れないネックレスだった。


「────えっ?」

気を抜いていたからか、変な声が出た。
同時に、一気に睡魔が吹き飛ぶ。


「どんなんだったか、よく覚えてなくて。ブランドとかも疎いし」

彼にしては珍しく、めちゃくちゃしゃべる。
そしてちょっと申し訳なさそうな顔をしていた。

「渡すタイミングもなかったから今になったけど…」

「えっ、待って!」

焦って座り直すと、大地さんはにじり寄るみたいにネックレスを大事そうに見下ろした。


「リベンジさせてくれない?ネックレスの金具の仕組みは理解したから」

「システムみたいに言わないでくれます!?」

ロマンチックの欠片もないのに、それでも内心かなりドキドキしてしまった。


いつから準備していたのか、角度によってきらりと光るそのネックレスは、前に私がつけていたものとは確かにデザインが少し違う。

でも、ちゃんと似ているものだった。


「つけてもらうの、初めてです」

「うん。だから、俺も初めてなんだって」

「き、緊張するんですけど!」

「俺もしてるよ」

「うそだあ!してない顔!笑ってるもん!」

「美月が俺より緊張してるから」

そりゃあ、この場面で緊張しない人いる?


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