あと30日で、他人に戻るふたり

29日目 帰りたい理由

「あっつ……」

暑さに目を覚ましたのが、朝の六時半過ぎ。


ひとりで寝る分にはなんの問題もないベッドがこんなに狭く感じるのは、紛れもなく隣で眠っている大地さんのせいなんだけど。

昨夜、ソファへ移動しようとした彼を引き止めたのは私なわけで。


稼働したまま寝たエアコンの温度設定を見直そうと、リモコンを探す。

サイドテーブルをごそごそしているうちに、寝返りを打った彼がベッドから落下した。


ゴン!と絶対に頭を打ったような音がして、慌てて覗き込む。

「ちょ…、大丈夫ですか!?」

「いってぇ。全部痛い」

「すみません、暑くてエアコンのリモコン探してたんです」

「もうさ、早急にベッド見に行こうよ。週末まで待てない。無理。背中痛い」


起き上がった大地さんがその場で大きく伸びをして、腰のあたりをさすりながらリビングを出ていく。

そこでやっと振り向いた。


「あ、おはよう」

「……おはようございます」

私が返すと、彼はふわりと微笑んだ。


「美月、今日は早く帰れる?」

「うーん、残業にはならないとは思うんですけどね」

「じゃーどっかで待ち合わせて家具屋とか行かない?」

「あぁ、それもいいですね」

ふたりで話しながら、それぞれリビングのカーテンを開けたり、エアコンをつけたり、テレビをつけたり。


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