あと30日で、他人に戻るふたり
ベッドエリアでは、数え切れないくらいの種類が並んでいて。
選び放題といえば聞こえはいいけれど、こちらをどんどん迷わせてくる。


大地さんはこういうところへ来たのが初めてなのか、いったん寝転んでみる、というのを繰り返している。

でっかい子供みたいだな、この人。

一生寝転んでるんじゃないかと思うくらいゴロゴロしているので、仕方なく話しかけた。

「どういうのがいいとかあります?」

「大きければなんでもいい」

「なに言ってるんですか。寝室だってそんなに広くないんですよ」

六畳しかないのだから、ベッドだけ置いたらとんでもない圧迫感があるに決まっている。


思いっきりキングやクイーンのサイズのベッドでゴロゴロしていた彼が、やっと起き上がった。

「六畳だっけ?」

「そうなんですよ。ちゃんとサイズは考えないと」


ここでようやく大地さんが移動して、ダブルやセミダブルのコーナーへ移動してくれた。

やっぱり、このくらいの大きさが現実的だ。


またゴロゴロしている彼に、あまり言いたくはないが事実を伝える。

「クローゼットの開け閉めとか、動線を考えるとセミダブルかなって思ってます」

「ダブルじゃだめ?」

「部屋の中、歩けなくなりますよ…」

「うーん、そっか。クローゼットってまだ空きある?」

「はい。全然ありますよ。大地さんの服もそこに余裕で置けます」


私もなんだかんだ断捨離してあの部屋に引っ越してきている。
なので、衣類はそこまでたくさんあるわけでもない。

実際、クローゼットは半分くらい使っていなかった。


「俺もあのクローゼット使うなら…、仕方ないか。セミダブルだとしても」

「着替えとか寝室ですること考えると、ダブルにしたら激狭になりますしね」

「…我慢する」


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