あと30日で、他人に戻るふたり

5日目 どうでもいいことの積み重ね

アラームなしで起きる土曜日は、幸せだ。


ゆっくり目を覚まして、もうすっかり慣れてきた天井を眺める。
しばらくぼんやりしてゴロゴロして過ごして、布団の温もりが名残惜しくありつつも、やっと身体を起こす。

カーテンを開けると、曇りだった。
刺すような日差しじゃないから、ちょうどいい緩さで目に優しい。


大きく伸びをして、寝室のドアを開ける。


開けてから、気づく。
ソファに横たわって眠る、彼の姿。


────あ、帰ってたんだ。

そんなことを思いながら、閉まったままのリビングのカーテンを見やる。

ここは開けないでおいた方がいいな。
そう思って、薄暗いリビングからキッチンへ移動する。


冷蔵庫のお茶を飲んで、静かなリビングにちらりと視線を向けた。


彼がちゃんと寝ていることに、妙な安心感が広がる。

改めて聞いていないけれど、私と同じように土日は休みなのだろうか?
それとも、呼び出しがあれば土日でも仕事に行ったりすることもあるのだろうか。


いずれにせよ、起こしたくないのでそっとリビングを出て洗面所へ向かった。


朝の洗面所はいつもバタバタするのに、今日は音がない。

邪魔をされず、ぶつかることもない洗面所で歯磨きをして、顔を洗って、パックをして、メイクをして、髪の毛をアイロンで整える。

ルーティンが、滞りなく進む。

一人であるということが、少しだけ心地よくて、少しだけなにかが足りない。


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