あと30日で、他人に戻るふたり
「とにかくさ、“いい人だと思うんでまた会いましょう”って言われたけど…」

優奈は届いたばかりのランチのサラダを頬張りながら、ふーっと息をついた。

「全力で断った」


予想がついた答えに、ふっと笑いが漏れる。

「だろうね」

「“だろうね”じゃないの!慰めてよ!」

「いや、だってこれだけ優奈が言うんだもん。絶対無理ってことでしょ」

「まあね…」

彼女はそう言いながらも、さっきまでの勢いは少し落ち着いている。

ため息まじりにフォークでチキン南蛮をぶすっと刺していた。

「でもさー、なんでこういう人ばっかり当たるんだろ」

「うーん…、選び方じゃない?」

「うるさい」

軽くテーブルの下で足を蹴られる。

「痛っ!」

「美月もそろそろアプリやりなよ。けっこう楽しいよ。当たりハズレ激しいけど」

「やらない」

「なんで?」

「……めんどくさいから」


そう答えながら、フォークを手に取る。
視線は、目の前のランチに落としたまま。


さっきの会話が、なぜか少しだけ残っていた。




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