彼と彼女の、最大の不具合



「いつもそうだと助かるんだけどなあ」

「はは…」


それに関しては、さすがに否定も肯定もできなくて、乾いた笑いしか出てこない。

だって実際そうなのだ。

私と右京くんは、顔を合わせれば喧嘩、喧嘩、喧嘩!意見が食い違ってはぶつかって、譲れないところは絶対に譲らない。そのせいで、研究開発部どころか社内全体に「またあの二人やってるよ」と思われているレベル。

部長もそれをよく知っているからこそのこの一言なのだろう。


「今日は金曜日だし、ゆっくりしろよ」


ぽん、と軽く肩に手を置かれる。その温度に少しだけ力が抜けて、「ありがとうございます」と小さく頭を下げた。部長は満足そうに頷くと、そのまままた会議室へと戻っていく。


「はー…ほんと、よかった…」


思わず大きく息を吐いて、腰に手を当てながら首を回す。ここ最近ずっと残業続きで、肩も首もバキバキだ。でも、その疲れすらどこか心地いいと思えるくらい、今は達成感の方が大きい。


「香坂、今日どうする?」


ふと、隣から声が降ってきて顔を上げると、右京くんがちらりとこちらを見ていた。


「ふふ。もちろん、行きますよ」


「じゃあ、いつものとこ集合で」


右京くんは短く言って、そのまま軽く背伸びをしながら歩き出した。


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