彼と彼女の、最大の不具合
“いつものとこ集合で”——。
最初にそこへ行ったのは、入社してしばらく経って、初めてふたりで大きな案件をやり切った日のことだった。
あのときも今回と同じで、散々ぶつかって、最後の最後まで意見をぶつけ合って、それでもなんとか形にして、ようやく終わった夜。
「打ち上げ行くか」と右京くんに言われて、半ば流されるようにしてついて行ったのが始まりだった。
当たり前のように、その頃から彼に対しての恋愛感情はあった。
顔がいいし、仕事もできるし、悔しいくらい魅力的で、気づいたら目で追ってしまっていた。
でもあの夜、仕事の話をしながらぽつぽつと語ってくれた彼の考え方や熱意を知って、それまでとは違う感情が芽生えたんだ。
ただのかっこいい同期じゃなくて、同じ方向を見て戦っている相手として、そして一人の人間として、もっと近づきたいと思った。
ぶつかることも多いし、正直仕事の相性は良いとは言えない。
それでも——いや、だからこそかもしれない。
彼と一緒にいる時間は、いつも刺激的で、飽きることがなくて、気づけば自然と笑っている自分がいる。
そしてもう一つ、彼といる中で分かったことがある。
それは、仕事ではあれだけ噛み合わない私たちなのに、プライベートでは驚くほどしっくりくるということ。
会話のテンポも、沈黙の心地よさも、食の好みも、くだらないことで笑うポイントも、全部が不思議なくらい合っている。