彼と彼女の、最大の不具合
すると右京くんは「はぁ……」と大きく息を吐いて、片手を腰に当てる。少し呆れたみたいな顔をしたあと、ぼそっと小さな声で言った。
「……姉ちゃん」
「……え?」
「今更言っても信じてもらえないと思って、せめて誠意見せたくて、お前にあげるプレゼント選んでたんだよ」
「……。」
プレゼント?私に?右京くんが?
呆然として何も言えない私を見て、右京くんは少し不機嫌そうに眉を寄せた。
「……なんか言えよ」
ぶっきらぼうな言い方なのに、どこか照れてるみたいで、さっきまで怒っていた顔とは少し違う。その姿を見た瞬間、胸の奥がじわっと熱くなる。
「(……そっか、そうだったんだ)」
あの日見た光景。隣にいた綺麗な女の人はお姉さんで、ジュエリーショップに入ったのも、全部私のためだったんだ。
信じてもらえないかもしれないのに、それでもちゃんと気持ちを伝えたくて、プレゼントまで選ぼうとしてくれてたんだ。
そんなこと考えてたなんて、知らなかった。
しかも誠意って。どれだけ真剣だったの。どれだけ私に振られたくなかったの。
そう思った瞬間、さっきまでの不安が嘘みたいに消えていく。代わりに胸いっぱいに広がっていくのは、くすぐったいくらいの愛しさだった。
「でも結局、買えなくて……ヘタレって言われたけど」
右京くんは気まずそうに視線を逸らしながら頭を掻く。その姿があまりにも想像通りで、思わず笑いそうになる。
きっとお姉さんに背中押されてたんだろうな、とか。店の前で散々悩んで結局決められなかったんだろうな、とか。簡単に想像できてしまう。