彼と彼女の、最大の不具合
「(どうしよう……かわいい)」
さっきまであんなにかっこよかったのに、今はもう全部が可愛く見えて仕方ない。
そんなに私のこと好きだったの?そんなに悩んでくれてたの?ずっと余裕あると思ってたのに、本当は右京くんも必死だったんだ。
そう思った瞬間、胸の奥がきゅうっと甘く締め付けられて、どうしようもなく愛おしくなった。
「茉白は?茉白は俺のことどう思ってんの」
さっきまであんなに強気だった右京くんが、少しだけ不安そうな顔をする。その表情を見た瞬間、胸がぎゅっと締め付けられた。右京くんでも、こんな顔するんだ。そう思ったら、たまらなく愛しくなる。
右京くんはゆっくり私の右手に触れた。大きくて、少しあたたかい手。触れられた瞬間、心臓が跳ねる。指先から熱が伝わってくるみたいで、息が苦しくなる。こんなの反則だ。夢みたいで、まだ現実感がない。
私は震えそうになる手を隠すみたいに、その手をぎゅっと握り返した。
「……好き、だよ。出会った時から」
言った瞬間、自分の顔が一気に熱くなるのが分かった。恥ずかしくて逃げたくなる。でももう誤魔化したくなかった。
ずっと好きだった。同期として初めて会った日から、ずっと。
口悪くて、喧嘩ばかりだけど、なのに誰より仕事に真剣で、困ってる人を放っておけなくて、そういうところ全部、気づいたら好きになってた。
すると右京くんは一瞬ぽかんとしたあと、みるみるうちに顔を赤くしていく。耳まで真っ赤で、さっきまでの余裕そうな顔が嘘みたいだった。
「ほんとに私のこと好きなんだね」
思わず笑いながら言うと、右京くんは照れ隠しみたいに眉を寄せる。
「そうだって言ってんじゃん」
ぶっきらぼうなのに、声が少しだけ甘くて、また胸が苦しくなる。なんだこれ。かわいすぎる。