彼と彼女の、最大の不具合
思わずふたりで顔を見合わせて笑ってしまった。
だって、おかしい。本当におかしい。会社では顔を合わせれば言い合いばっかりしてた私たちが、実はずっと両想いだったなんて。会議では意見ぶつけ合って、くだらないことで喧嘩して、そのたびに周りにまたやってるって呆れられてたのに。なのにお互い、ずっと好きだったなんて。そんな少女漫画みたいなことある?
クスクス笑っていると、右京くんが少し身を屈める。そしてコツン、と優しく額が触れ合った。右京くんの匂いがして、呼吸が混ざりそうで、それだけで頭がおかしくなりそうだった。
「お酒のせいとか、言わないでよね」
不安になって小さく呟くと、右京くんはすぐに笑う。
「言うわけない」
「明日になったら、また喧嘩しちゃうのかな」
そう聞くと、右京くんは少し考えるみたいに目を細めたあと、ふっと笑った。
「さあ?でもいいんじゃない?お互い好きだってもう分かってるし」
「ふふ、そうだね」
なんだかその言葉が嬉しくて、自然と笑みが零れる。喧嘩しても、すれ違っても、もう大丈夫な気がした。だって右京くんはちゃんと私を好きでいてくれるから。こんな幸せなこと、今まで知らなかった。
好き。
ずっとずっと好きだった人。やっと届いた想いが嬉しくて、胸がいっぱいになる。
「大好き」
小さく呟くと、右京くんは一瞬目を見開いて、「……俺も」と困ったみたいに笑った。