彼と彼女の、最大の不具合



そんな彼女のことを、本当は思う存分甘やかしてやりたいし、誰にも見せないくらいに愛でてしまいたい気持ちは山ほどあるのに、どうしてか仕事中になるとそれがまるで別人みたいにうまくいかなくなる。

なんせ、スキンケア処方研究チームに所属している彼女は、俺とは真逆のタイプで、完全に感情で突き進む理想主義人間だからだ。

「コストが上がってもいいものを届けたい」その気持ちは痛いほど分かる。分かるけど、現実はそんなに単純じゃない。

原価も、利益も、販売戦略も、全部ひっくるめて考えなきゃいけないのが商品開発で、どこか一つだけを優先するなんてできない。


それでも彼女は真っ直ぐに理想を貫こうとするから、どうしてもぶつかってしまう。

気づけば言い合いになっていて、同じチームの同僚からは「また喧嘩してんのかよ」なんて呆れたように言われるのも一度や二度じゃない。


「お前、香坂さんには当たり強いよな」そう指摘されたこともある。


正直、自覚はある。

毎回、次こそは冷静に話そうと思っているのに、いざ彼女を前にすると、なぜか感情が先に出てしまって、気づけばヒートアップしている。

でもそれは、彼女が誰よりも研究に真剣で、この会社に対しても強い想いを持っているからで、その熱に引っ張られるように、俺も譲れない部分をぶつけてしまうからだと思う。


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