彼と彼女の、最大の不具合



今日も今日とて顔がいい、右京くん。

仕事上、意見がぶつかるのは事実だし、価値観だって違う。


でも、それとこれとは別問題で——実は入社して彼を初めて見た瞬間から、ずっと密かに片思いをしている。

だって、ずるくない?


サラサラで光を反射するみたいに綺麗な黒髪に、すっとした二重の切れ長の瞳。
通った鼻筋に、主張しすぎない薄めの唇。そして何より、あの涙ボクロ。
ふとした瞬間に見える色気なんて、反則レベルだと思う。

こんなの、意識するなって方が無理に決まってる。


気づけばまた、ぼんやりと彼の顔を目で追ってしまっていたらしい。


「香坂?」


不意に名前を呼ばれて、心臓が跳ねる。


「はっ…」

「大丈夫か?」


少しだけ首を傾げて覗き込んでくるその仕草に、余計に動揺する。


「え?あ、うん!だ、大丈夫!しょうがないから見直してあげる。右京くんもよろしくね!」


慌てて取り繕うように言うと、右京くんは一瞬だけ目を細めてから、「おー」と短く返事をして、そのまま自分のデスクへと戻っていった。


……危ない、危ない。見惚れてる場合じゃなかった。


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