恋から逃げるのには理由(わけ)があって
太陽が息を止めたのがわかった。

私は震える息を吸って、もう一度言った。

「好き。太陽くんが好き」

涙が頬を伝う。
でも、さっきまでの涙とは違った。

痛いだけじゃない。
怖いだけじゃない。

ずっと閉じ込めていたものが、ようやく空気に触れたような涙だった。

「一度目の人生でも好きだった。今の人生でも、たぶん最初から好きだった。でも、好きって言ったら負けると思ってた。あなたを死なせる未来に負けると思ってた」

私は笑った。
泣きながら、笑った。

「でも違うよね。好きだから逃げるんじゃなくて、好きだから一緒に変えればいいんだよね」

太陽は、しばらく何も言えないようだった。

世界的俳優。
王子様。
レッドカーペットを歩く人。
どんな舞台でも完璧に言葉を選ぶ人。

その人が、今、私の目の前で言葉を失っていた。
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